あるまじろ日記

武装はそこそこに、ちいさいものです。

雨の音が好きです

わたしにいろんなことを教えてくれてそしていなくなった先輩は、雨が好きな人だった。他にもいろんな話をして、例えばサッカーが好きだとか、納豆が嫌いだと思っているとか、それから業務についてのいろいろとか、たくさんのことを教えてくれたけど、なによりも、雨が好きな人、という印象になってしまっている。

なんとなくいつも眠そうな、優しげな雰囲気をまとっていて、そして確かにその通り優しい人だった。話すのも聞くのも上手で、穏やかで、でもすごくまっすぐな人。周りを突き放すことはしないけど、自分をちゃんと保っている人。自分のやりたいことを見失わない人。

今こう書いていて、まるでわたしと正反対のような人なんだと思う。雨が好き、ということだけが共通点だったのかもしれない。ひとつだけでも同じものがあることが嬉しくて、一緒に出かけるとき雨が降っていると嬉しかった。車の屋根に当たる雨音、うどん屋の窓を叩く雨音、いい音ですねと言うと、そうだねと言ってくれた。

いなくなるときわたしはとても寂しくて、とてもみっともなかった。

あんなんじゃ、もう会えないなあと思う。

 

久しぶりに雨の中出かけたので、憧れだった人のことを、まるで学生の頃みたいに思い出してせんちめんたるになってみたりした、そんな水曜日でした。